アフリカでは今、"砂"を巡り住民同志が殺しあうというまさに「砂戦争」が繰り広げられています。
実はアフリカに限ったことではなく、世界各地でこのような現象が見られているようです。
そのため砂の違法採取による環境破壊や「砂マフィア」と呼ばれる犯罪組織もいるほどです。
なぜ、水や食べ物ではない"砂"を争うのか…。
それはアフリカでは"砂が貴重な天然資源とされているからなんです。
経済成長がめざましい発展途上国では建設ラッシュが続いており、建設等に使われるアスファルトやコンクリートなどを作るために"砂"が必要なため、砂の奪い合いが起きているのです。
例えばケニアでは首都ナイロビの人口は470万人を超え、高さ300メートルもの高層ツインタワービルや大型ショッピングモールが次々と建設されています。
ケニアといえば草原にライオンやゾウなどの野生動物が生きている「サバンナ」を想像しがちですが、今やこんなにも急速に発展しているのです。
砂を巡った事件は各地で起きており、その一例がこちらです。
- ウガンダ(東部アフリカ)
世界第三位の湖水面積を持つビクトリア湖に面する同国では、違法採取による、重要な輸出品である魚・魚製品への影響が深刻。3メートルという規制に対し実態は12メートルの深さまで浚渫が行われているケースもあり、魚の生息域や稚魚の成育に影響を与えている。
- ケニア(東部アフリカ)
違法採取された砂を運搬中のドライバーが、敵対する砂マフィアにより殺害される。
- ガンビア(西部アフリカ)
アフリカ大陸で最も小さな国土である同国では、2017年6月に砂の採取を巡る小競り合いで2名が死亡。また国土の全体が標高100メートル以下であるため、違法採取により、満潮時に川を経由して海水が耕作地に流れ込む可能性が危惧されている。
- モザンビーク(南部アフリカ)
政府公認の採取による自然環境の破壊。砂採取が行われ始めてから洪水が頻発し、家の流出などにより採取場近くの村が壊滅。国際人権団体であるアムネスティが、操業をしていた中国の鉱山会社の違法操業を告発。
- モロッコ(北部アフリカ)
砂マフィアによる違法採取で、同国の海岸線が破壊されているとUNEPが報告書内で指摘。
同国で算出されている1000万トンの半分が違法採取であるとのこと。
「砂」が大金に変わる?希少化する「砂」の今(下村靖樹) - 個人 - Yahoo!ニュース
周りを見渡せば確かに砂はたくさんあり、それがお金になるのであれば皆そろって採取します。
しかしそれがあまりにも激化しすぎると、自然環境が変わり環境破壊へとつながるばかりだけではなく、地下水の枯渇や水質汚濁、洪水や高潮・地滑りの危険も高まり、自分たちの生活を苦しめることにもつながります。
上記でもご紹介したケニアではまだまだ建設ラッシュが続き、鉄道や高速道路など国家プロジェクトが目白押しのようです。
これにもやはり膨大な"砂"が必要になるため、しばらく「砂戦争」問題は続くのかもしれません。
経済が発展するとともに、その中の政府や国民性も一緒に成長していかなければその国も立ち行かなくなってしまうでしょう。
アフリカは今後も人口増加が予想される国でもあるので、法整備などをし、国民と環境について今一度考えてもらわないと、自分たちの首を締めることにもつながりかねません。
今後のアフリカ諸国の動きに注目です。